鑑定書に近衛文麿公像と記されたどこの誰だかわからない油彩画について

ここに『真作保証小林萬吾40号近衛文麿東京美術倶楽部鑑定証付日動画廊取扱作！名鑑3200万帝国芸術院会員1900年に描かれた歴史的名画師・黒田清輝』という油絵が出品されていた。なぜ突然油絵かというと、自分の検索キーワードに近衛文麿が引っかかって来たのでクリックして見たところ…『え？これが近衛文麿？』と疑問に思う部分があったので記事を書こうと思いました。

では、まず近衛文麿とはどんな人物だったのか？簡単なプロフィールをWikipediaで見てみます。

近衞文麿（このえふみまろ、1891年〈明治24年〉10月12日 – 1945年〈昭和20年〉12月16日）は、日本の政治家。栄典は従二位勲一等公爵。
Wikipedia

生まれは明治24年、西暦1891年なんですね。
そこで今回の絵、近衛文麿を描いてるのですが色々とおかしい所があるんですね。
そのおかしい所とは、

・サインにある1900という年号の謎
・近衛文麿の顔
・家紋
・作品説明票の消された年号と鑑定証書

の四点です。
では、ひとつずつ見ていきましょう。

もうピンときた人には分かると思いますが、こちらの絵にはキャンバスの右上にサインと年号が書き入れられており、そこには『M.Kobayashi 1900』とあって1900年に描いたという証拠になるわけですね…あくまで建前上ですが( ﾟдﾟ )
これが本当に1900年に描かれた絵であるとするならば、もうみなさんお気付きだと思いますが、近衛文麿の生年から分かる通り、彼は当時９歳のおぼっちゃまなわけですよ…( ﾟдﾟ )

その９歳の近衛文麿がこちらです⬇️

絶対に違うやろ！⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ᵒ̴̶̷᷅ )⁝

みなさん、近衛文麿の顔って思い浮かべて頭の中にパッと浮かんできますか？
歴史好きな方だと簡単に浮かぶと思います。
私はこの絵を見て近衛文麿ではないと一瞬で判断しました。
顔が違いすぎます。
いくら若い頃だったとしても違いすぎます。
そして若い頃の近衛文麿の写真がインターネットにないか検索したのですが、すぐには見つかりませんでした。
（一点だけあったのですが有料資料なので使用できず）
そしてこの記事を書いてから数日経った頃にヤフオクに近衛文麿の写真が出品されておりました。
それがこちらです⬇️

全然違う…( ﾟдﾟ )
もうこの時点で購入しようなんて思う事はないとは思いますが、他にも疑問に思う点があるので適当に最後までお付き合いください…⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝

次は絵のモデルが着ている羽織についてです。
羽織に付いている家紋にご注目ください⬇️

こちらの家紋、はっきり描かれていないので似たようなものを想像するしかないのですが、軍配や団扇ぽくないですか？
相撲の行司が持ってるアレです(・∀・)
戦国時代の武将が持っていたりもしますね…武田信玄とか(・∀・)
ウチにある日本家紋総覧によると、中津団扇紋というやつみたいですね🥺⬇️

このような家紋が色々あるのは少しググると出てきますね。
そこで近衛家の家紋って軍配ぽかったの？って事ですよね。
ではその近衛家の家紋は何か？というと⬇️です。

近衛牡丹というらしいです。
全然違いますね…軍配🥺
五摂家筆頭の近衛家の御曹司が自画像を描いてもらう際に羽織がないから借りてきたってそんな貧乏なウチの爺ちゃんじゃあるまいしそれはなかろうよ！⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝
って事でこれは近衛文麿ではないと断定したくなるんですよ…🥺

では最後にもうひとつだけ…⬇️の画像です🥺

この日動画廊と書かれた作品票を見てください。
どこかのタイミングでこの画廊が手に入れて記入した商品説明書だと思われます(・∀・)
その記載にある19◯◯年作…この◯の所は消されています。
うっすら見えるような見えないような…少し拡大した画像を⬇️

これ1915年って書いてるように見えません？完全に妄想になりますがwwww⁝(ᵒ̴̶̷᷄൧̑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝
でも1900年には見えないですよね？9の横は1っぽくないです？
もしこれが1915年だと近衛文麿は２４歳、翌年には貴族院議員になっているのでなんとなく絵くらい描いて良いタイミングに思えます（適当）(・∀・)

おまけに鑑定証書なるものが付いているのでそちらも一応確認しましょう。