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【学徒出陣】文部省主催出陣学徒壮行会 ラジオ実況 昭和18年10月21日

文部省主催出陣学徒壮行会 ラジオ実況 昭和18年10月21日

YouTubeに以前アップした動画の文字起こしをこちらにも掲載。

勅令第七百五十五号
朕在学徴集延期臨時特例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

御名御璽  

内閣総理大臣兼陸軍大臣 東条英機  
海軍大臣 嶋田繁太郎  
内務大臣 安藤紀三郎  
大東亜大臣 青木一男  
文部大臣子爵 岡部長景

在学徴集延期臨時特例
兵役法第四十一条第四項ノ規定ニ依リ当分ノ内在学ノ事由ニ因ル徴集ノ延期ハ之ヲ行ハズ

附則 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
https://www.jacar.archives.go.jp/aj/m…

動画文字起こし

征く学徒、東京帝国大学以下七十七校○○名。
これを送る学徒九十六校、実に五万名。
今、大東亜決戦に当たり
近く入隊すべき学徒の盡忠の至誠を傾け、
その決意を高揚するとともに、
武運長久を祈願する出陣学徒壮行の会は、
秋深き神宮外苑競技場において、
雄々しくも、そしてまた健けくも展開されております。

各校、先導の校旗を先頭に、制服制帽、巻脚絆、
白地に黒く各大隊名を表したる小旗を着剣に結び、
今、堂々たる分列行進は、戸山学校軍楽隊の勇壮なる行進曲にのって進められていきます。
正面壇上に、これら学徒の敬礼を受けるは、岡部文部大臣。
国民服姿も颯爽といたしまして壇上に起立。
浦和高等学校、都立高等学校、各高等専門学校の行進が続いております。

正面観覧席はもとよりのこと、
遠く見晴るかす各観覧席まで、ことごとく在校学徒、
あるいはこれに参加する女子専門学校生徒らによって
全く埋め尽くされております。
日章旗、翩飜として中空にひるがえる間に、なおも学徒行進は続いていきます。
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県一帯の官公私立大学、
高等専門学校、師範学校報国隊員として、近く入隊すべく
誉の学徒の出陣壮行は、まこと感激的な情景を展開、
堂々と続いて行くのであります。

既に東京帝国大学、商科大学、慶應大学、
早稲田大学、明治大学、法政大学、中央大学、日本大学、
専修大学、立教大学、拓殖大学、駒澤大学、
立証農大、日本医科大学、大正、上智大学、國學院、東洋大学と
各大学の行進は全く終わりました。
正面芝生、所定の位置に順次、凛然たる整列を続けております。
黒の制服制帽に、カーキ色の訓練服に、それぞれ身を固めました各校学徒。
今正面を通過いたします東京歯科医専。
競技場走路を踏みしだく、その揃う足並みは、
まこと大海の如く、銃を肩に剣を腰に、
決意を額に唇に漲り溢れさせまして、
その意気、まさに敵米英を屠すの概があります。

斯くして分列行進は全く終了。
競技場は一瞬の静寂にかえります。
これより宮城遥拝、君が代奉唱、明治神宮遥拝、靖国神社遥拝、
宣戦の大詔文部大臣奉読、必勝祈願、
内閣総理大臣訓辞、文部大臣訓辞、総理大臣???
そして式次第は順次繰り広げられてゆくのでございます。
着剣を腰に収め、休めの姿勢のまま、待機にあります学徒数万。
軍服に威儀をただした東條内閣総理大臣登壇。

「東條内閣総理大臣閣下に対し敬礼。かしら前!」

♪海ゆかば(将官礼式)※大将なので三回繰り返す
「なおれ!」

茲に明治神宮外苑の聖域におきまして、
征途に上らんとする学徒諸君の壮容に接し、
所懐を申し述る機会を得ましたることは、
私の最も欣幸とする所であります。
嘗て藤田東湖先生が「正気の歌」を賦し、その劈頭に、
「天地正大の気、粋然として神州に鍾る」と申されたのであります。

只今、諸君の前に立ち親しく相見えて私は、
神州の正気、粛然として今、茲に集結せられて居るのを感ずるものであります。
諸君は胸中深く決する所あり
腕を撫して国難に赴く烈々たる気魄
将に果敢なるものがあることを私は、
その諸君の輝く眸に十分これをお察しし得るのであります。

諸君の光栄ある今日の門出に際し
我々の祖先が我が子の初陣に当たり、
一家一門打揃うて祝い送ったと同様の心持ちをもちまして、
我々一億同胞は心から敬意と感謝とをもって諸君の
壮途を祝い送らんとするものであります。

願わくば、青年学徒諸君、
私は諸君が昭和の御代における
青年学徒の不抜なる意気と必勝の信念とをもって
護国の重責を全うし、
後世に永く日本の光輝ある伝統を残されんことを
諸君に強く期待し、且つこれを確信するものであります。

而してわれわれ諸君の先輩も亦、
諸君と共に一切を挙げて皇国興隆の礎石たらんことを
深く心に期しておるのであります。
先人の歌に曰く
「海潮波 ながるるきわみ 皇国と おもいて行かね ますらおの伴」
懸軍万里、御稜威を仰ぎ奉りて
皇道宣布の大御戦に参加の光栄を
荷なわるるところの諸君が、
必ずやその重責を全うされんことを
切に祈念して諸君に対する私の
壮行のことばといたす次第であります。
終わり。

「東條内閣総理大臣閣下に対し敬礼。かしら前!」

ラッパ「海ゆかば」吹奏裡に、
学徒隊に対し右翼から左翼へと慈愛こもれる瞳もて、
じっと敬礼をおくります東條総理大臣。

♪海ゆかば(将官礼式)※大将なので三回繰り返す

「岡部文部大臣閣下に対し敬礼。かしら前!」

諸君、昭和十六年十二月八日、
畏くも米国及び英国に対する宣戦の詔勅
渙発あらせられましてより茲に二年、
当時の深い感激は今尚国民の記憶に新たなるものがあるのであります。

緒戦以来大御稜威の下、
わが忠誠勇武なる皇軍将兵の善謀力戦により
南に北に戦果は赫々として挙がり、
帝国の威武は早くも敵国を圧し
大東亜建設の巨歩は着々と進められつつあるは、
国家の為、洵に欣幸これに過ぐるものはないのであります。

諸子は亦、身は学窓にありといえども、
克くその使命の重大なるに鑑み、
日夜修文練武の功を積み、
第一線に在るの意気をもって或は学業に、
或は勤労に精励されたることは世人の等しく知る所であり、
自分も亦、諸子に期待する所
大いなるものがあったのであります。

今や戦局はいよいよ重大なる決戦段階に入り、
一億の国民挙って鉄石の決意をもって戦闘配置につき
戦力増強の一途に向かって国家の態勢を整備し
総力を最高度に発揮せんとする事態に
直面しつつあるのであります。

敵は夙くより世界制覇の野望をもって
東亜に侵寇しておったことは
今更喋々を要せざる所でありまするが、
彼等は之が保持の為には死力を盡して
我に反撃し来たらんことは想像に難からず、
今や戦局はいよいよ熾烈を極めてきたのであります。

あらゆる国難を克服し敵を破摧して
不敗の陣容を固むるに当たっては、
更に勇気溌剌たる諸子に待つこと
絶大なるものがあるのであります。
諸子の心魂には三千年来培われたる
皇国の貴き伝統の血潮が満ち溢れておるのであります。

諸子が必勝の信念の下に
あくまで健闘を続けられんことを祈り、
茲に諸子の勇壮なる門出に当たって
心からなる祝辞を呈する次第であります。
終りにいささか餞のしるしとして
一首の歌を送り以って
この壮行の辞を結ばんとするのであります。
「海征かむ 山また空を征かむとの 若人の門出 雄々しくもあるか」
終わり。

「岡部文部大臣閣下に対し敬礼!かしら前!」

参列学徒代表 壮行の辞
代表 慶應義塾大学医学部学生 奥井津二

壮行の辞
大東亜戦争の戦局、愈々緊迫して決戦段階に到れるの秋、
現在召集延期の恩典を辱うした
青年学徒も亦こぞって戦場に出で行くことになりました。

然るところ、本日茲に文部省並に
学校報国団本部主催の下に
出陣学徒壮行会を挙行せらるるに当り、
吾等徴兵未適齢の故になお在学する者また参列して、
吾々に先んじ征く諸兄を送るの光栄ある機会を得、
まことに感激に堪えないのであります。

しかしこの感激こそは、吾々も諸兄に続いて召され
征く日を想うて湧き上がる感激に連なるものであります。
吾々は諸兄とひとしく
既にして選ばれたる学徒であるとともに
立派なる兵士であることを自負するものであります。

今や吾々は最強なる兵士即ち
最も優れたる学徒であることを信じて疑わないのであります。
諸兄は学窓を去って戦場に赴くも
決して学徒たるの誇りを忘れないでありましょう。
等しく、吾々学窓に留まるといえども、
身、既に皇国の兵士たるの覚悟に
決することを念願いたします。

ああ、多数の学徒がやがて一時に戦列に配せられて
敵を撃つときの壮絶さを想えば、
たれか胸踊らざるものがありましょうか。
されば諸君、元気で征ってください。
吾々も征く日までは諸兄の心を心とし、
学問研鑽を続けるとともに、
心身の錬磨に努むることを誓います。
どうぞ諸兄元気で征ってください。
一言以て壮行の辞といたします。

昭和十八年十月二十一日
出陣学徒壮行会参列学徒代表
慶應義塾医学部学生 奥井津二

在学学徒代表
慶應義塾医学部学生 奥井津二君の壮行の辞は終わりました。
これに応えまして、
出陣学徒代表 答辞
東京帝国大学文学部学生
江橋慎四郎君の答辞があるのでございます。

明治神宮外苑は、生等、多年武を練り技を競い
皇国学徒の志気を発揚し来れる聖域なり。
本日、この思い出多き地において、近く入隊の栄を担い、
戦線に赴くべき生等のため、厳粛盛大なる壮行会を開催せられ、
内閣総理大臣閣下、文部大臣閣下より御懇切なる御訓辞を忝うし、
在学学徒代表より熱誠溢るる壮行の辞を恵与せられたるは、
誠に無上の光栄にして、生等の面目、これに過ぐるものなく、
衷心感激措く能わざるところなり。

思うに大東亜戦争宣せられてより茲に二星霜、
大御稜威の下、皇軍将士の善謀勇戦は、
よく宿敵米英の勢力を東亜の天地より撃攘払拭し、
その東亜侵略の拠点は、悉く我が手中に帰し、
大東亜共栄圏の建設は、この確固として盤石の如き基礎の上に着々として進捗せり。

然れども暴戻飽くなき敵米英は、今やその厖大なる物資と生産力とを擁し、
あらゆる科学力を動員し、我に対して必死の反抗を試み、
決戦相次ぐ悽愴なる戦局の様相は、日を逐うて熾烈の度を加え、
事態愈々重大なるものあり。

時なる哉、学徒出陣の勅令公布せらる。
予ねて愛国の衷情を
僅かに学園の内外にのみ迸らしめ得たりし生等は、
是に優渥なる聖旨を奉戴して、
勇躍軍務に従うを得るに至れるなり。
豈、感奮興起せざらんや。

生等、今や見敵必殺の銃剣をひっ提げ、
積年忍苦の精進研鑽を挙げて
悉くこの光栄ある重任に捧げ、挺身もって頑敵を撃滅せん。

生等もとより生還を期せず。
在学学生諸兄、亦遠からずして生等に続き出陣の上は、
屍を乗越え乗越え邁住敢闘、
以て大東亜戦争を完遂し、上宸襟を安んじ奉り、
皇国を富岳の泰きに置かざるべからず。

斯くの如きは皇国学徒の本願とするところ、
生等の断じて行ずる信条なり。
生等謹んで宣戦の大詔を奉戴し、
益々必勝の信念に透徹し、愈々不撓不屈の闘魂を磨励し、
強靭なる体躯を堅持して決戦場裡に挺身し、
誓って皇恩の万一に報い奉り、必ず各位の御期待に背かざらんとす。
決意の一端を開陳し以て答辞となす。

昭和十八年十月二十一日
出陣学徒代表 東京帝国大学文学部学生 江橋慎四郎

♪海ゆかば 斉唱
海ゆかば 水漬く屍
山ゆかば 草生す屍
大君の 辺にこそ死なめ
かえりみはせじ

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